コーマック・マッカーシー『平原の町』

マッカーシー祭りラスト。国境三部作の完結編。『すべての美しい馬』と『越境』の主人公が登場する。

既訳のマッカーシー作品の中ではいちばんストレートな展開。しかもラブストーリー。『越境』の後だと戸惑うくらい違和感が。ビリー(『越境』の主人公)って話すとこんなキャラだったんだね、という。悲劇に向けて加速する後半がすばらしい。解説にもあるけど、かなりのキャラ萌え小説である。

エピローグでは年老いたビリーがとある男と問答するんだけど、これが作家論みたいになっててなかなか楽しい。

これで既訳のマッカーシーは全部読んだ、はず。句読点も少なく引用符もない独特の文体が目を引くけど、ストーリーのネタそのものは書かれた時点からでも古くさい感じのものが多いように思う。世界がおそらく核戦争で滅んでる2006年の『ザ・ロード』なんかはまさにそう。にもかかわらず、はっとするような衝撃がある。やっぱり作家の必然で書かれているってことなんだろう。当然のように期待した展開にはならないし、結末もすっきりしない。読む人をかなり選ぶ。だけど、芸術ってそういうもんなんじゃないかな。そして、その意味でマッカーシーは間違いなくすごい。

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