Live 8で負荷テスト

新型のMacBook Proは13インチにFireWire復活がめでたいものの、15インチからExpress Cardスロットがなくなってしまった。

DAW作業でもっとも性能を得るには専用ドライブを用意するのがいい、というのが定説。それをやるにはノート型のMacはFireWireの外付けしか選択肢がないんだけど(USB 2.0のHDDは遅いからどこのメーカーも非推奨)、そうなるとオーディオIFもFireWireの場合、同一バスに接続することになるので帯域を使い切ってしまい、音切れなんかの問題が起こることがある。そういう場合Express Cardでバスを拡張する手があったのだが、新型MacBook Proではそうもいかなくなった。オーディオIFをUSBにすればいいじゃんという話もあるけど、2イン/2アウトを超えるチャンネルのものはUSBにはろくな選択肢がなく、音質的にもFireWireものが有利で、使えないと困ってしまう。

それなら内蔵HDDはそんなにパフォーマンスに問題があるのかよ? って話になるんだけど、個人的には困ったことがない。困ったことがないといってもオーディオはステレオで8トラックくらいがぼくの使うせいぜいなので、ちょっと負荷の高い環境を試してみた。

やり方は簡単、24bit/44.1kHzステレオのAIFFを、Live 8のアレンジメントビューにずらっと並べて再生するだけ。これが用意してた24トラック(モノラル換算で48トラック)を楽々再生してしまい、拍子抜け。トランスポートも普通に操作できる。5400rpmの160GBが残り30GBって状態でこれなので、よっぽど高いサンプリングレートかケイト・ブッシュばりにたくさんのトラックを使わない限り、特に問題が起きなさそう。ちなみに24トラックがどのくらいのもんだって話だけど、U2がアナログ24トラックのMTR。

わかんないポイントとしては、書き込みと読み込みではパフォーマンスがかなり違うので、多チャンネル同時録音でどうなるかってところなんだけど、以前ドラム録りした時はモニターしながら4チャンネル普通に録音できてたので、8チャンネル程度ではまったく問題なさそうな予感。

悩ましいのは起動ディスクへの録音が非推奨になってるPro Toolsのユーザーくらいだろうか。ま、Digidesignは昔からハード環境にシビアな独自路線だから別枠で考えるべきかな。

最近のPCの性能はすごいよね、と再認識したのでした。

コンピCD参加のお知らせ

orangeさん主宰のコンピCDにまた参加することになりました。タイトルは『Drive On』(仮)。リリースはたぶん夏コミ辺り。詳細は追っていろいろ。

今回ぼくははorangeさんと共作です。

コーマック・マッカーシー 『血と暴力の国』

映画『ノー・カントリー』の原作。

もの凄いバイオレンス小説で、かなりびっくり。全編暴力に満ちてる。最初のシーンからして保安官補殺し、それもかなり残酷。以降、単なる殺人ってレベルじゃない派手な暴力事件が続き、人が死んでいく。心理描写は省かれ、淡々と何が起こったかを書き連ねていく文章は、逆に戦慄もの。暴力を正当化するロマンチックな言い訳は皆無。トラウマも狂気も復讐もない。いうなら理不尽ってことなんだろうけど、そう簡単にひと言ですませられないシビアなものがある。麻薬と犯罪組織っていう、ストーリーの枠組から想像できるものだけじゃない何か。

単純な対決ものではないので、結末にキャラへの感情移入を期待すると肩すかし。句点なしでずらずら続き、引用符(括弧)を省いた独特なスタイルは、ちょっと読みにくいかも。でも、この冷たく乾いた読書感はなかなかない。おすすめ。