自分でこういうラインナップはどうかと思う。
W・G・ゼーバルト『空襲と文学』
ゼーバルト・コレクションの新刊。評論集。表題の「空襲と文学」のほか、ドイツ文学者の評論が3編。既刊のゼーバルトの中で、いちばんテーマがダイレクトに重い。
「空襲と文学」では、ドイツ文学界が、第二次大戦で自国の都市が絨毯爆撃で徹底的に破壊された事実から逃避していることを批判する。といっても声高にアジるのではなく、いつもの抑制された調子でつらつらと資料に当たっていくゼーバルトスタイル。爆撃された町の悲惨な様子が、淡々とした資料の引用で語られ、それがいかに語られてこなかったかを述べる。読んでる感覚は、広島や長崎の原爆資料を読んでる、あの感じ。
ほかの3編は、ぼくの知らない作家/画家の評論なんだけど、テーマは一貫して第三帝国。
ゼーバルトは社会や政治がどうこうっていう俯瞰的な視点へ進むことがない。あくまでも事実としての個人の感情や人生に焦点を当て、超越的な道徳や神の意志なんかは持ち出さない。もちろん、それはゼーバルトの意図だ。そういう欺瞞はゼーバルトが糾弾する対象なのだった。
アンソニー・ボーデイン『世界を食いつくせ! キッチン・コンフィデンシャル・ワールド・エディション』
借りて読んだんだけど、絶版だし、いいよね。日本ではディスカバリーチャンネルでやってる『アンソニー世界を食らう』のホスト、アンソニー・ボーデインの著書。世界各国に飛んでいろいろ食いまくる。番組はこの本の取材にテレビスタッフが同行して作られたそうだ。
本人がフレンチのシェフで、肉と動物性脂肪をこよなく愛するだけあって、そこらのグルメ料理紀行とは濃さが違う。屑肉や内臓料理のすばらしさ、伝統を守るシェフのプライド、自分の才能への絶望とともに語られる三つ星レストランのすごさ、などなど、おもしろい話がいっぱい。アンソニーはベトナムがお気に入りらしい。
大和田秀樹『ムダヅモ無き改革』
小泉首相が世界の首脳と体を張った麻雀バトルを繰り広げる、素晴らしすぎるバカマンガ。ローゼン麻生閣下もカッコよく登場。麻雀知ってた方が笑えるけど、知らなくても大丈夫。そういう内容です。